運命の出合い

夫とお見合いで初めてあった時夫に「どうして結婚したいと思ったのですか?」と聞いたとき「自分の子どもがほしいと思ったから」と答えたのにはびっくりしました。

特に息子がほしいと言うのです。

「変わった人だなぁ。思っていたとしもいきなり初めて会う人に向かって言うものかしら」と少し引きつつも、夫の飾らない正直さに今まで会ったことがないタイプだと興味を持ちました。

そして話が進む中夫は「子どもが生まれたら『シュタイナー教育』で育てたいと思ってる」と言ったのでした。

私はその言葉に大変驚きました。

まさに私もそう思っていたのです。

短大時代にドイツ語の講義をとっていたのですが、ドイツ語の先生が「これを読めばドイツ人の生活スタイルがおもしろく書かれていてわかりやすい」といって紹介してくださったのが『ミュンヘンの小学生』だったのでした。

そこで「シュタイナー教育」と出合い、「私も子どもが生まれたらこんな風に育てたい」と思ったのです。

しかし、卒業して5年も経ちますとそんなことも忘れていましたが、思いもかけず夫の口からまさかの「シュタイナー教育」との言葉が出てきたことに運命を感じ「この人なら絶対にいい父親になれる」と確信し結婚を意識したのでした。

お陰様で結婚し娘と息子にも恵まれて夫婦で「シュタイナー教育」の本を読みあさり生活スタイルから変えていきました。

 

しかし、なかなか思うような子育てができず行き詰まってくると夫が「やっぱり親が変わらないとだめなんだろうね」というようになってきました。

見よう見まねでいかにも教育しているつもりであっても、形にこだわっているだけの自己満足の域から抜け出せていないことに気づいたのでした。

しかし、親が変わらなければと思ってもどこから?どうすれば?と思い悩んでいる時にまずは朝早く起きることから始めたのでした。

するとこれまで受け身だった自分の考えが自発的にかわり、朝から積極的にはたらけるようになりました。

また、我が家だけがしあわせであればそれでいいと思ってご近所付き合いもろくにしてこなかったのですが、ゴミ出しや玄関先のそうじの際ご近所の方に挨拶をするようになると「ご近所あっての我が家」とも思えるようになりました。

夫もそんな私を応援してくれ、私が至らなかったり失敗をしても決して子どもに「お母さんはどうしょうもないね」というようなことは言わずに大きく見守ってくれ、私や子ども達のよき理解者となってくれていることがありがたいと思っています。

「シュタイナー教育」の真髄には結局たどり着けずに終わってしましましたが、そのことが夫との運命を感じるきっかけとなり紆余曲折を経て「やはりこの夫でよかった」と思える今があることに感謝です。